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筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)
年度 2009年度(平成21年度)
設問番号 第2問
テーマ 承久の乱前後の朝幕関係
「承久の乱」前後の朝廷と幕府の関係について,次のア〜エの語句を用いて,400字以内で論述せよ。解答文中,これらの語句には下線を付せ。ただし,語句使用の順序は自由とする。
ア 新補地頭 イ 九条頼経 ウ 後鳥羽上皇 エ 執権
【解答例】
鎌倉時代当初,西国には朝廷の支配が強く残り,鎌倉幕府も朝廷の支配や荘園・公領の維持を助けるという一面を持ち,公武二元支配の体制であった。ところが,3代将軍源実朝暗殺事件以降,朝廷と幕府の関係は急変する。幕府は摂関家から九条頼経を将軍後継者として招いたものの,後鳥羽上皇が北条義時の追討を掲げて挙兵し,承久の乱が発生した。乱は幕府の勝利に終わり,朝廷と幕府の関係は幕府優位へと変化した。幕府は京都に六波羅探題を新設して朝廷の監視などにあたらせ,後鳥羽ら三上皇を配流するなど,朝廷の政治や皇位継承を左右するようになった。さらに,上皇方の所領を没収して東国御家人を新補地頭に任じ,勢力を西国へ拡大させた。一方,幕府は政治的な安定期を迎える。執権を中心とする御家人の合議政治が整い,幕府政治の規範として御成敗式目も制定された。しかし,御成敗式目の適用は幕府の勢力範囲に限られ,朝廷と幕府の協調関係が継続した。