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筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)
年度 2010年度(平成22年度)
設問番号 第1問
テーマ 律令国家の形成過程
645年の大化改新から710年の平城京遷都にいたる国家建設過程について,次の(ア)〜(エ)の語句を用いて論述せよ。解答文中,これらの語句には下線を付せ。ただし,語句使用の順序は自由とする。
(ア)藤原京 (イ)大海人皇子 (ウ)大官大寺 (エ)水城
【解答例】
7世紀半ばの大化改新では,政府は改新の詔で公地公民の原則を宣言するなど,大王中心の中央集権体制の建設に着手した。この動きは,白村江の戦いで敗北して以降,促進された。政府は水城の築造など防衛体制の整備を進めると同時に,庚午年籍を作成し,豪族支配下の人民を戸籍に登録する制度をはじめて全国的に整えた。そして,壬申の乱に勝利した大海人皇子が強大な権力を掌握して天武天皇として即位すると,豪族の私的な領有民を廃止し,豪族を天皇中心の新たな身分秩序に再編成するなど豪族の官僚化が進められ,と同時に,藤原京が建設されて豪族の集住が図られた。さらに,大官大寺を建立するなどして仏教に国家の安泰を保つ役割を期待する一方,大王の祖先神をまつる伊勢神宮を整備するなど,国家の荘厳が進められた。こうして8世紀初め,文武天皇のもと大宝律令が制定され,さらに元明天皇のとき,新たに平城京が営まれ,唐にならった律令国家が整った。