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筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)
年度 2011年度(平成23年度)
設問番号 第1問
テーマ 古代の東北地方
8〜9世紀における東北地方の動向について,次の(ア)〜(エ)の語句を用いて論述せよ。解答文中,これらの語句には下線を付せ。ただし,語句使用の順序は自由とする。
(ア)伊治呰麻呂 (イ)坂上田村麻呂 (ウ)文室綿麻呂 (エ)阿弖流為
【解答例】
律令政府は,東北地方の住人を蝦夷と呼んで異民族と扱い,征討などの手段によって服属関係を結ばせていった。8世紀前半には,太平洋側の陸奥国に加え,日本海側に出羽国を新しく設置した。陸奥国には多賀城を築いて国府とともに鎮守府を置き,出羽国には秋田城を築き,それぞれ軍事拠点とした。その他の地域にもさまざまな城柵を設け,東国などから農民を植民させて開拓を進めさせた。ところが8世紀後半,律令政府の支配が北上川流域に及ぶと,蝦夷が蜂起した。服属した蝦夷の族長伊治呰麻呂が反乱を起こして多賀城を陥落させて以降,三十数年にわたる戦争が展開した。これに対して8世紀末,律令政府は坂上田村麻呂を派遣した。田村麻呂は,9世紀初めに胆沢地方の族長阿弖流為を降伏させて北上川中流域を制圧し,胆沢城を築いて鎮守府を多賀城から移すとともに,北上川上流に志波城を築いた。さらに9世紀前半,文室綿麻呂が派遣され,征討事業は終了した。