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筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)

年度 2011年度(平成23年度)  設問番号 第3問

テーマ 19世紀前半の欧米諸国との関係


19世紀前半における日本と欧米諸国の関係の推移について,次の(ア)〜(エ)の語句を用いて論述せよ。解答文中,これらの語句には下線を付せ。ただし,語句使用の順序は自由とする。

(ア)鳴滝塾  (イ)フェートン号  (ウ)捕鯨  (エ)『戊戌夢物語』


【解答例】
19世紀初め,ロシア使節レザノフの通商要求を幕府が拒否したためにロシア軍艦蝦夷地襲撃事件が発生し,イギリス軍艦フェートン号の長崎乱入事件が起きるなど,欧米諸国と緊張が生じた。それに対して幕府は北方防備のために全蝦夷地を直轄としたり,江戸湾の防備を強化したりした。ロシアとの関係はゴローニン事件が解決して以降,安定したものの,1820年代にはイギリスなどの捕鯨船が近海に出没したため,幕府は異国船打払令を発し,外国船を撃退する方針をとった。1840年代になると,幕府はアヘン戦争を契機として異国船打払令を緩和したものの,オランダ国王の開国勧告を拒否した。他方,長崎を通じて欧米諸国の文物が流入した。なかでも,ドイツ人医師シーボルトが開いた鳴滝塾などを通じ,医学などの学問が蘭学として普及した。しかし幕府は蘭学者が幕政を批判することを警戒し,モリソン号事件に際して『戊戌夢物語』を著した高野長英らを厳しく処罰した。