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筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)
年度 2012年度(平成24年度)
設問番号 第1問
テーマ 摂関期文化
10〜11世紀ころの文化について,次のア〜エの語句を用いて論述せよ。解答文中,これらの語句には下線を付せ。ただし,語句使用の順序は自由とする。
(ア) 平仮名 (イ) 唐物 (ウ) 束帯 (エ) 大和絵
【解答例】
10?11世紀ころ,貴族社会を中心に,日本人の人情・嗜好にかなった独自の国風文化が形成された。もっとも象徴するのが平仮名など仮名文字の発達で,『古今和歌集』を初めとする勅撰和歌集が編纂され,紫式部『源氏物語』などの仮名物語が書かれるなど,仮名文学がさかんになった。美術工芸でも,貴族の邸宅で寝殿造の建築様式が広まり,日本の風物を題材とした大和絵が描かれ,男性用の束帯,女性用の十二単など日本独自の服装が生まれた。しかし,中国の民間商船によってもたらされた書籍や工芸品,高級絹織物などが唐物として珍重され,また,和歌以上に漢詩文の才能が重んじられるなど,大陸文化の影響も少なくはなかった。一方,災厄がしきりにおこり,末法思想が広まるなか,仏教が貴族社会に本格的に定着した。密教により現世利益を求めるとともに,浄土信仰に基づき,来世での幸福を願う動きも広まり,平等院鳳凰堂など阿弥陀堂が貴族により建立された。(400字)