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筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)

年度 2012年度(平成24年度)  設問番号 第4問

テーマ 昭和初期の経済政策


昭和初期の経済政策について,次のア~エの語句を用いて論述せよ。解答文中,これらの語句には下線を付せ。ただし,語句使用の順序は自由とする。

(ア) 井上準之助   (イ) 金融恐慌   (ウ) 重要産業統制法   (エ) 金解禁


【解答例】
第一次世界大戦のなかで過度に膨張した経済界の整理が遅れ,とりわけ関東大震災によって震災手形が大量に発生したため,銀行への信用不安が広がっていた。そうしたなか,若槻憲政会内閣は震災手形の処理を進めようとしたが,失敗して金融恐慌を招いた。その結果,中小銀行の整理が進んだが,依然として工業の国際競争力が不足していたために輸入超過が増大し,金輸出禁止が続くなかで円為替相場は動揺と下落をくり返した。そこで,浜口民政党内閣は井上準之助を蔵相にむかえ,金解禁を断行した。円為替相場を安定させるとともに,旧平価での解禁によるデフレ効果で経済界の再編を促進しようとし,さらには重要産業統制法を制定し,カルテル結成をうながした。しかし,解禁による不況に世界恐慌の影響が重なり,昭和恐慌に陥った。それに対して,犬養政友会内閣は金輸出再禁止を行い,軍事費を中心とする積極政策と低為替政策によって恐慌からの脱出をはかった。