筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)
年度 1991年度(平成3年度) 設問番号 第2問
テーマ 享保期の時代状況/近世
以下の史料は,『政談』の一節である。この史料を読み下記の設問に解答せよ。(400字以内)
今の世の人,百姓より外は武士も商人も古郷というものをもたず。雲の根をはなれたるようなる境界,あわれなる次第也。ただし,大名の家来をも,面々に知行所をくれて,そこにおきたき事なれども,当時差支ゆる子細あり。元来これも皆知行所に居たれども,太閤秀吉公の時より,大名に所替をさするという事の起れる故,さようの節に不便利也とて,皆面々の城下にあつめ置く事,今は一面に風俗となれり。その時代は戦国の始めてしずまりたる砌なれば,その勢いを弱むる術にして,計策の一なるべけれども,これよりして,日本国中の総人数減少する事,武道においてはよろしからざる事の第一也。
〔設問〕
イ.著者名を記せ。
ロ.下線の部分をふまえ,著者が「あわれなる次第」と述べた時代状況について論述せよ。