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筑波大学 個別学力検査等試験問題【前期日程】(日本史B)

年度 1994年度(平成6年度)  設問番号 第4問

テーマ 日清・日露戦間期の政治の特質/近代


次の文章は『公爵山県有朋伝』の一節である。文中の下線部分(1)〜(3)の意味するところを具体的に説明しながら,日清・日露戦間期の政治の特質について論述せよ。(400字以内)

 是に於て,伊藤は辞職し,内閣組織の大命が大隈,板垣に下った。公は伊藤の隈板推薦を以て,已むを得ざるものと認めたが,之が為に(1)平生の主義主張を一擲して,政党内閣主義に降服したるものでは無かった。明治三十一年七月二十六日,公が親近者の一人に贈った書簡に,

 爾時,本朝政海一大変動。遂に(2)明治政府は落城して,政党内閣と為りたる変化の真相は,追々報知にて御了承の事と不贅候。敗軍之老将再び談兵の必要は無之。隠退之外無之と存候。
と云ふてゐるに由りて之を観るも,公が(3)政党内閣の実現に平かならざる心事の程が窺はるゝでは無い乎。