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鎖国について

メールでの質問への応答です(2002.12.5)。
> 鎖国完成時期に日本の経済
> が外国との結びつきがなくとも、成り立った理由について、これは
> 慶安の触書や、田畑勝手作りの禁令等による、農民支配や、それ以
> 外にも、藩との結びつきなどによる経済力があったからということ
> からなのでしょうか?補足等お願いします。


君は「鎖国完成時期に日本の経済が外国との結びつきがなくとも,
成り立った」と書いているけれども−そして山川の教科書にそう書
いてあるんだけれども−,いわゆる鎖国が完成したあと,日本は外
国と貿易を全くやっていないんでしたっけ?よく考えてみてくださ
い。教科書もたまに間違ったことが書かれていますよ。
外国との窓口は長崎だけじゃなくあと3つ開いていましたが,それ
はともかくにしても,長崎へはオランダ船や中国船が来航してます
よね?彼等は何をしに来ているんでしょうか?遊びに!?まさかね。
当然,貿易でしょ。オランダ船や中国船が日本に何をもたらしたか
については,きちんと教科書に書いてあります(補注)。
つまり,いわゆる鎖国が完成したあとも,日本の経済は外国と結び
ついていたんです。
[2002.12.05]

(補注)
「日本の経済が外国との結びつきがなくとも,成り立った」と書い
ている山川の『詳説日本史B』ですが,ところが鎖国の説明のとこ
ろで「長崎貿易」という項目をたて,その脚注のなかで次のように
説明している。
「オランダ船は,中国産の生糸や絹織物・毛織物・綿織物などの織
 物類と,薬品・砂糖・書籍などをもたらした。」
「清船は,清国産の生糸・絹織物・書籍のほか,ヨーロッパからの
 綿織物・毛織物,南洋産の砂糖・蘇木・香木・獣皮・獣角などを
 もたらした。日本の輸出品は銀・銅・海産物などがおもであった。」