年度 2005年
設問番号 第2問
次の文章を読んで下記の問いに答えよ。(問1から問4まですべてで400字以内)
第一次大戦は,日露戦後の貿易収支の悪化と外貨不足に悩む日本経済に,「大正新時代の天佑」といわれる空前の大戦ブームをもたらした。戦場となったヨーロッパへの軍需品輸出が急増し,民需でもa)欧米市場向けに国内生産が急拡大した。また戦争のためイギリスなどヨーロッパ列強がアジアから後退した間隙をぬって,日本はアジア市場へ綿糸・綿布輸出を伸ばした。とりわけ中国にはb)帝国主義的な権益要求をつきつけ,大戦期から大戦後にかけて政府・民間ともに積極的に資本輸出を図った。こうして第一次大戦期に産業構造は転換しはじめ,大企業体制が形成されていったが,大戦ブームのなかでc)「成金」といわれる新興企業家が生まれた。だが,1920年3月の戦後恐慌(反動恐慌)を契機にして,多くの新興企業は没落し,また急成長した銀行も膨大な不良債権をかかえこみ,以後10数年におよぶ長期の不況に落ちこむこととなった。こうして日本経済は,1910年代の急成長から1920年代の慢性不況への社会的激変を経験し,民衆の社会的台頭のなかで,d)深刻な社会問題に直面することとなった。
問1 下線部a)の国内生産を拡大した産業諸部門を3つ挙げて,その拡大の理由を具体的に述べよ。
問2 下線部b)の中国への権益要求とは何か,また政府・民間による中国への資本輸出とは何か,それぞれ具体的に述べよ。
問3 下線部c)の「成金」について具体例をひとつ述べよ。また,大戦期に三井物産に匹敵するほど成長し,その後経営危機に陥った商社は何か,さらにその経営危機は経済的大事件に発展するが,それは何かを述べよ。
問4 下線部d)の社会問題の発生に対応して,1920〜1922年に結成された全国的な社会運動組織を3つ挙げて,それぞれの目的を具体的に述べよ。